魁文舎ウェブサイト
KAIBUNSHA
魁文舎アーカイブス

NEXTREAM21
in RIKKOUKAI Vol.11

公開ダンスコンテスト 入賞者発表

出場者発表(4月5日) こちら

出場者募集・開催概要 こちら


<キッズ部門> 

最優秀賞

RAMS『Dancing Machine』

(c)Koji Ota

優秀賞・I LOVE DANCE賞

AMH『CHECK IT OUT + FREAK』

(c)bozzo

優秀賞・輝け未来のダンサー賞

izumako『izumako』

(c)bozzo

審査員特別賞 

イグ・エスニックジャズダンス・アンサンブル
『Tiara・ときめき』

(c)bozzo

ベストプレイヤー賞

松本日向(RAMS)

(c)Koji Ota

 

<一般部門> 

最優秀賞

該当なし
優秀賞
TABATHA『わたしのメキシコ』
(c)bozzo
優秀賞 「彩」ダンスエンターテイメント
『生命〜美しく』
(c)bozzo
審査員特別賞 中村蓉『マーガレットの休日』
(c)bozzo
藤井友美『橋を渡る馬』
(c)bozzo
奨励賞 トップスター『レディー』
(c)bozzo

(c)Koji Ota

入賞したみなさん、おめでとうございます!今年も数多くの応募団体から、キッズ13組、一般14組(団体の諸事情により1団体辞退)がコンテストに挑み、会場はたくさんのエネルギーと将来性に溢れた素晴らしい回となりました。今年も、一般部門の最優秀賞の該当がありませんでした。昨年と同様、代わりに優秀賞2組が賞金各5万円と、副賞の劇場公演の機会を分け合います。今年惜しくも入賞が叶わなかった団体も、来年リベンジを賭けて再チャレンジをお待ちしてしいます。ご来場頂いたお客様、参加団体の関係者の皆さま、多岐に渡るご協力ありがとうございました。今年は審査員より参加団体に向けたコメントを掲載することにいたしましたので、今後の創作活動のヒントとして頂きたいと思います。

 


審査員コメント


稲吉優流(ジャズダンス/RAKUDO主宰)

<キッズ部門・総評> 
昨年までは妙に背伸びして、子供なのに露出度の高い衣装で、かわいいというより、やらされてる感じで、無理に大人に媚びたセクシーっぽいダンスが多く、しかも勝ちにこだわったからか、力みすぎで、音が走ってる子達が、多かったです。だから正直?な感じでした。
しかし今年はそういう団体はありませんでした。すごくまっすぐに踊りに向かっている感じが良かったですね。個人賞を取った男子、すごい良かったです。
動き、集中力や意識、音楽性が素晴らしいです。世界に出られますね。今年は目が血走った子供がいないのが良かったです。... 無理した笑顔でなく、本当に素直な笑顔がたくさん見れました。来年も期待しています。
賞を取ったチーム、惜しくも逃したチーム、すべての子供たちがダンスで輝いていたのが今年の印象です。これからもダンスを続けてくださいね。

 <一般部門・総評>
参加者の皆さま、お疲れ様でした。観客の皆さま、ご来場ありがとうございました。
昨年に続き(一般部門の)グランプリは該当なしでした。一昨年は50点満点中40点越えや、39点台、38点台の高得点がいくつもありましたが、昨年はそうした突き抜けがなく、今年は最高で34,5点。33点台、32点台が多数で、0,5ポイント差で、いくつものグループがひしめいていました。そういう意味で「そこそこ良かった作品」は多かったんですが・・・「お〜!!」っていう作品は少なかったです。

ジャズ/コンテジャズ/リリカル系・・・・・
良いところ>動きを見せることを追求してるので、スキルは高く、わかりやすい。チームカラーがまとまっている。全体感が統一されていた。
... 惜しいところ>全体感に対して、個を押し出す感じがないと、ソロダンサーの印象より弱く見える。一人ひとりの存在感を上げる必要あり。
作品としてわかりやすく好ましいが、わかりやすい分、突き抜けたパワー、技術、存在感・・・・コンテのソリストに負けない、アーティストとしての「自立心」があれば、もっと上にいけるはずです。実際アメリカのジャズダンサー達は「濃い」ですから。そこを目指しましょう。

コンテ系デュオ/グループ・・・・
良いところ>アイデアが面白い。伝えたいコンセプトを動きで表しているので、作品性が高い。身体レベルが高い団体もいた。
惜しいところ>自発的に作品を創っているので、世界観はあるのだが、自作な故「客観性」が弱かったり、中だるみが見える。流れを考えましょう。

コンテ系ソロ・・・・・・
良いところ>技術的に高い人が多かった。隙がなく良く練習しているのが感じられた。
惜しいところ>おそらく指導者のカラー、教えに忠実なあまり、ダンサー自身の個性が見えてこなかった。それを突き破ってこそ、自分の世界になる。 

<一般部門・寸評>
1)TABATHA
動ける上に構成もアイデアも良かった。スタミナ切れで中だるみが多少あったが、伝わってくるものがあった。ソロを増やした上で、関係性を見せればさらにいいです!優秀賞おめでとう!
2)高村裕貴…なめらかで良かったです。中盤の盛り上がりで、もっと温度を上げて欲しかった。カラダはきれいだったが、外側に発する意識があれば、もっと伸びます。頑張って!
3)barebones…構成は良かったです!個人個人になった時が、トーンダウンしてしまい、伝えたことが半減してしまった。伝えたいことはわかりやすくてよかった。最初のフォーメーションのシンクロはありがちかも。
4)SEED…素晴らしい身体能力!17歳とは思えないです。先生の指導が素晴らしいと思いますが、それをいい意味で脱して、...自分色が出ればもっと素晴らしいダンサーになれます!
5)トップスター…励賞おめでとうございます。しかしアイデアに対してダンス技術が低すぎます(笑)。もっとカラダ鍛えましょう。クイーンの曲でソロの時も、音に当てて踊るなら、外さないでね。
6)KINJI105…斬新でした。語りが泣けてきそうでした。でも動きの質だけで言えば弱かったです。パフォーマンスとしてはGood!ダンスとしてはもう少し何かが欲しいです。
7)東大前衛的舞踊団…男性の彼、ジャンプが美しかったですね。今回男性で一番テクニックあったと思います。創りも良かったけど、男性と同じくらい、女性ダンサーの存在感、動きが観たかったです。惜しい!
8)J-Black…正統派リリカルジャズ!4人ともダンサーとして質が高かったし、好きでした!でも作品力の面でいうと少し物足りなさが・・・もっとスキルや存在感を上げつつ、踊れるのだし、一人ひとりを描けば厚みが出ました。
9)中村蓉…わかりやすく創造性もありました。せっかく踊れるんで、もっと動きも観たかったです。でも最後まで世界観を出していましたね。よかったです。おめでとうございます!
10) Planet KEMY'S…高校生女子のHIP HOPとても元気でかわいかったです。ダンスの原点は楽しいから。音楽にのって踊る楽しさは本能です。観ていて素直に楽しめました。これからうまくなってね。
11)西山友貴…動き・カラダの美しさ・空間の密度、素晴らしかったです。テクニックは今回の女性でNo1でした。師事している方のカラーを超えて、本人のキャラクターが見えたら、もっと輝くはず。残念でした!
12)soulstory…コンテジャズとベリーダンスのコラボはアイデア良かったです。でもせっかくコラボなのに、からみがほとんどなくて、残念。ソリストがリレーした感じなので、作品性を上げれば面白かったです!
13)藤井友美…技術は高かったです。しかし技術と同時に自分の世界に閉じこもりすぎでした。もっと伝えましょう。技術があだになってはもったいない!あなた自身を出しましょう。でもおめでとうございます。
14)「彩」ダンスエンターテインメント…ジャズの群舞。好きです。たジャズのいいところと、もうひとつなところが両方出てました。まとまりがいい方にも出ていたし、無難にも見えたし。突き抜ける「個」が育てば、もっとよかったですよ。優秀賞おめでとうございます!

 

 

宮田健男(ストリートダンス/Studio Faith主宰)

<キッズ部門>
皆が作品に対してとても真剣に取り組んでいるのがよく分かりました。多くの子供達は、先生に振付をしてもらっているとおもいます。その振付を、他者からもらったものとして踊っている人と、自分なりに消化した後にあらためて表現している人では差が出たと思います。
また、基礎がしっかりしていない人も多くみられました。体の使い方をしっかりと学ぶことで表現の幅も出てきます。是非、基礎の練習をしっかりするように頑張ってください!

 <一般部門>

●全体から見て特に印象に残った作品は以下2作品

1.TABATHA『わたしのメキシコ』
とにかくインパクトが強い作品でした。
それは、題名、選曲や音楽の変化なども含め、作品全体を通して言えることだったと思います。
体の使い方などはまだ向上する余地があると思うので、トレーニングを含めてさらに磨きをかけていただければと思いました。

 5.トップスター『レディー』
この作品は、グループの面白さが作品とリンクした内容でした。内容的には自分の一押しだったと言えると思います。演者の踊りに関しては、技術的にというか、身体的能力は必ずしも高いとは言えませんでしたが、逆にそれがこの作品の面白さを引き出していました。
ただ、残念なのは音の早取りが多かったです。

 ●SOLOとして一番いいと感じたのは

2.高村裕貴『輪郭』
静寂の中の動きは何かを感じさせるものがありました。
ストリートダンスの要素も結構入っていたかと思いますが、これに関しては技術の向上を伴えば更にいい作品になると思います。

 ●全体を通しての印象としては

1.早取りの人が多い
音、ビートよりも早く動いてしまう、いわゆる「早取り」の人が結構多く、それは残念に思います。いろんな考えがあるようですが、音と如何にシンクロするかがストリートダンスの考え方です。音楽あってのダンスであるならばその視点は外せないと思います。

2.伝わりにくい構成
ダンスは、人に何かを伝える表現だと考えております。
具体的な意味が分からなくても、「凄い」とか「カッコイイ」とか、「切ない」とかそういう気持ちの起伏を、見ている人に伝える事が大事だと思っています。
抽象的なものを敢えて提示するという事を否定するわけではありませんが、それであれば作品全体として、もしくは踊り手として強い印象を見ている人に与えるべきだと思います。
また、作品にストーリーをもたせたり、もしくは道具を使ったりする場合は、その意味が見ている人に伝わるのかどうかをよく考えるべきかと思いました。

 表現としてのダンスは、踊り手からの言葉の投げかけです。
その言葉を受ける「見る側」の人間が、何かを感じて初めてコミュニケーションが成り立つ訳です。どうしたら自分達の「想い」が伝わるのか、改めて考えていくことでさらにいい作品になっていくのではないかと思います。

 

 

花光潤子(Nextream21・ダンスプロデューサー/NPO法人魁文舎理事長)

1.TABATHA:作品としてのアイデア創意はおもしろいのですが、後半息切れがしてユニゾンやフォーメーションなどが雑になりました。コミカルな軽やかさやウイットのある作風ですが、タイミングやリズム、スピードにダンサーがもっと余裕を持ち(そのためには沢山稽古して)、丁寧に緩急の流れを作っていけたら、もっと観客を楽しませることができたと思います。
2.高村裕貴:美しく流れるような輪郭のフォルムで、タイトル通りの作品意図は汲み取れました。しかし平面上の絵を見ているようで、身体から発せられる何かが伝わってきませんでした。貴方の「気」は貴方の身体の中には流れていますが、もう一つ観ている側にもそれを通す、貴方自身の意識の風穴を開けてみては?
3.barebones:構成がブツ切れになり、良くわかりませんでした。演劇やダンスなど多くの作品を観て、構成について勉強しましょう。
4.Dance Group SEED : 17歳で基本的な技術は身に着けている方だと見受けられました。作品の構成もきちんと纏まっています。ただ爆音に耳を押さえる等の類型的な表現が多く、本当に自分が戦火に投げ込まれた状況を想像して、貴方なりのリアルな身振りがあったら良かったと思います。イメージの冒険をしてください。
5.トップスター:もっともっと面白くなる作品だと思うので、残念です。意図して外すところ、おバカな身体ギャグ、ダンスで魅せるところなど、全部もうひと押しの中途半端です。コンドルズに追いつき追い越せで、笑いと演出のセンスを学んでください。
6.KIUNJI105:ナレーションの音量が大きすぎて、せっかくのモノローグの秘やかな独特の雰囲気を創りきれていませんでした。ソロで踊る人は自己を客体化する演出家の目も必要です。一度自意識を開放し、誰かにソロを振付・演出されてみる冒険をしてみたら、新しい自分を発見できるかも?です。
7.東京大学前衛的舞踊団:爽やかなイメージのデュオでした。ただ小さく作品を纏めるのではなく、もっと自分たちのオリジナリティを追求する個性的な振りや構成を実験して欲しかったと思います。男女のデュオはとかく類型的になりがちで、どこかで見たようなものが沢山あります。ソロの存在感でも群舞の迫力でもない、デュオでなければ創れない世界を模索してください。
8.J-Black:振付にもうしオリジナルなアイデアが欲しかったように思います。
9.中村蓉:構成も良く出来ていて、安定感のある力量が感じられました。身近な日常の物や事柄を発想の種に、そこから自分の世界を創っていくのは良いのですが、そのミクロの視点から最後にはもっと空間的にも拡がりを持つ普遍的な世界へと発展させて行って欲しかったのが、惜しいポイントでした。
10.Planet KEMY:カラのような印象でした。歌がない分迫力がもう一つ欲しかったです。
11.西山友貴:冒頭シーンの美しさに目が釘付けになりました。技術もセンスも充分ある方ですが、もう一つ自分の個性を引き出して欲しい。個人的には髪で顔が覆われ表情が見えなかったのは残念でした。(意図的かも知れませんが・・)
12.soulstory:せっかくの特色あるベリーダンスの魅力を、もっと存分に作品に活かして欲しかったように思います。二人の絡みがほとんど無かったのも残念。
13.藤井友美:一つの作品を創作するためには、振付だけではなく音楽、照明、衣裳など総合的な演出力が要求されます。どんなイメージの作品世界を創出したいのか、一つひとつを自分で吟味し選択してください。ダンス技術は充分にあるのですから、もっと自分を押し出してもいいはずです。
14.「彩」ダンスエンターテイメント:展開が明快でジャズダンスのかっこ良さが随所にありました。ただ大人数にしはまだまだ迫力不足でした。一人ひとりの技術をレベルアップすれば、もっと大きな躍動感が観客に伝わったのではと思います。