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スパイラルコンサートシリーズvol.21「千年の

作曲 寺嶋陸也/特別出演 観世銕之丞

『無一物の生  良寛に寄せて』

2013年1月22日(火)・23日(水)スパイラルホール

うらをみせ

    おもてをみせて

    散るもみじ

                  良寛

無一物の生 良寛によせて(おもて)

無一物の生 良寛によせて(うら)

日本の仏教寺院で僧侶が儀式のときに唱える声楽を「しょうみょう」といいます。1200年の伝統を誇り日本の音楽の源流である「聲明」。スパイラルの近代的空間の中でおおくりする聲明コンサートシリーズ「千年の聲」は、普段お寺でしか聴くことのできない聲明を少しでも多くの皆様にお届けしたいと、宗派を超えて結成した「声明の会・千年の聲」の僧侶たちが、古典と新作の聲明を毎年上演してきました。

Vol.21「無一物の生 良寛に寄せて」は、童子らと無心に遊ぶ姿で私たちに親しまれてきた良寛を取り上げ、自然とともに清貧の中に生きた良寛の生と死へ悟りの境地を描きます。

文政11年越後の三条大地震の際に、良寛が知人宛に送っ見舞いの手紙が遺されています。そこには、「災難に逢ふ時節には 災難に逢ふがよく候 死ぬ時節には 死ぬがよく候 是はこれ 災難をのがるる妙法にて候」と記されています。その意は、「災難に直面した時に、その現実を嫌うと却って自分を失い、なすべきことができなくなり苦悩がますます深まる。災難の中にあっても、それを直視し受け入れ、なすべきことをなしていく。それが災難にあいながら、災難を乗り越えていくすべなのである」という示唆でした。自らの弱さを知りあるがままを受け入れていく、良寛の死生を超越した禅の境地が伺えます。

2011年3月未曽有の被害をもたらした東日本大震災を経験し、自らが生きることの原点を一人一人に突き付けられた私たち日本人。物の豊かさの中で見失っていた大切なもの……。良寛の大悟境の言葉を聲明の歌詞に引用し、現代の日本人におくる新作聲明を創作します。生涯清貧を生き無一物を貫いた良寛の生き様は、時代をこえて現代の私たちの魂に深く語りかけてくるでしょう。観世流九世観世銕之丞をゲストに迎え、生と死の幽玄を舞う能と声明でお贈りします。


2013年
1月

22日(火)開場18:30 開演19:00
23日(水)開場14:00 開演14:30 開場18:30 開演19:00

スパイラルホール (スパイラル3F)
東京都港区南青山5-6-2
*東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道駅」 B1もしくはB3出口より渋谷方向へ1分。


【料金】

全席自由 前売 4,300円/当日 4,500円
チケット発売開始 11月17日


チケット取扱
チケットぴあ http://t.pia.jp/
0570-02-9999
[Pコード:184-473]
NPO法人魁文舎 03-3275-0220
スパイラル 03-3498-1171

お問合せ

NPO法人魁文舎

03-3275-0220

スパイラル

03-3498-1171 www.spiral.co.jp


[出演]
聲明の会・千年の聲
能シテ方:九世観世銕之丞
箏:西陽子
[構成・演出]
田村博巳
[作曲]
寺嶋陸也
[宣伝美術]
井原靖章
[制作]

スパイラル/NPO法人魁文舎/聲明の会・千年の聲

[助成]
芸術文化振興基金
[主催]
聲明の会・千年の聲/株式会社ワコールアートセンター

聲明の会・千年の聲

千二百年の伝統を誇る日本の音楽の貴重な財産である「聲明」。その伝統の継承と発展を目的に、日本の聲明の二大潮流を成す真言宗・天台宗の指導者が宗派を越え結成した。97年に旗揚げした「聲明四人の会」+シャブダの名称を、中堅、若手の著しい成長から「聲明の会・千年の聲」と改め、更なる飛躍を目指し国内外で活動している。定期公演「千年の聲」を基盤に、古典作品の紹介と優れた作曲家に委嘱する新作聲明を発表し、聲明のもつ伝統の深さと現代への可能性を追求している。CDリリースに「阿吽の音」「存亡の秋」(鳥養潮 作曲/(財)ビクター伝統文化振興財団)がある。


迦陵頻伽聲明研究会(真言宗)

新井弘順、平井和成、大平稔雄、川城孝道、木内修岳、斎藤説成、小路耕徳、塚越秀成、塚田康憲、田中康寛、孤島泰凡、戸部憲海、沼尻憲尚、清水義英、多田康雄、酒詰明文、榊隆大、青木亮敬


七聲会(天台宗)

玉田法信、末廣正栄、室生述成、鈴木亮仁、豊田良栄、日吉円順、宇佐見孝昭


寺嶋陸也
作曲家

東京芸術大学音楽学部作曲科卒、同大学院修了。オペラシアターこんにゃく座での演奏や、97年東京都現代美術館でのポンピドー・コレクション展開催記念サティ連続コンサート「伝統の変装」、2003年パリ日本文化会館における作品個展「東洋・西洋の音楽の交流」などは高く評価された。オペラ、室内楽、合唱曲、邦楽器のための作品など作品多数。作曲のほか、ピアニストとして内外の演奏家との共演、指揮、コンサートの企画など、活動は多方面にわたり、CDへの録音も多い。
ホームページ http://www.gregorio.jp/terashima/


観世銕之丞
能シテ方

観世流シテ方能楽師。昭和31年生まれ。八世観世銕之亟静雪(人間国宝)の長男。伯父観世寿夫、および父に師事する。
昭和35年、4歳で初舞台。平成14年、九世銕之丞を襲名。
銕之丞家の当主として、また銕仙会の棟梁としてこれからの能界を担う存在として期待されている。力強さと繊細さを兼ね備えた謡と演技には定評がある。ニューヨーク、ポーランド、韓国等、海外公演にも多く参加。またこれまでに「道真」、「調律師ーショパンの能」、「薔薇の名ー長谷寺の牡丹」といった新作能でシテや演出を勤めるほか、映画「眠る男」、人形アニメーション映画「死者の書」への出演、“ベケットの夕べ”での能舞「Neither」や武満徹の現代音楽とコラボレーションした能舞「水の曲」に出演するなど、古典を越えた世界でも幅広く活躍。
平成20年度日本芸術院賞受賞。平成23年紫綬褒章受章。重要無形文化財総合指定保持者(能楽)。